人の変化は難易度が高いという認識を持つこと
こんにちわ。組織開発 がミッションの人事グループ・組織開発室に所属しているてぃーびーです。
仕事において、誰かが好ましくない行動をしていたとします。その行動は単体で存在するわけではなく、その人の価値観があり、それを元にした判断があり、行動に至っています。例えば、他者から見て好ましくないように見える行動も、本人なりの価値観に基づいて、よりよい結果を生み出すために行った判断の結果である可能性があります。
この記事では、価値観・判断・行動の構造を踏まえて、人の変化に関して整理します。
人の行動は氷山の一角にすぎない
表からみえる人の行動の裏には他者の目から見えない判断や、その基準となる価値観があります。
価値観
価値観は、個人の根本的な信念や人生において何が重要であるかを示すものであり、その人の行動の基礎を形成します。価値観は家庭、文化、教育、経験などによって形成され、一貫してその人の思考や行動に影響を与えます。また、価値観は固定のものではなく、変化していきます。
判断
人は価値観に基づいて状況を評価し、正しさや適切さを判断します。価値観がフィルターとして働き、選択肢の中からどのように行動すべきかを決定します。
行動
価値観を踏まえて行った判断の結果、具体的な行動に至ります。この行動は、価値観に従って行動することで、その人の一貫性や誠実さを保つためのものです。行動はまた、他者からその人がどのような価値観を持っているかを理解する手がかりにもなります。
価値観・判断・行動の具体的な例
価値観・判断・行動について以下のような例がありえます。
- 価値観 : 未熟な人には厳しく接するべき
- 判断 : 未熟な行動をしている人を見かけた。厳しく指摘をする
- 行動 : 相手の行動が未熟であることを伝え、成熟した行動ができるように努力を怠らないように叱る
このような価値観に近い人もいれば、全く対局にいる人もいるでしょう。
人の行動に変化を促すことの難しさ
人の行動に変化を促すことは、単に問題を指摘をすれば終わりになるような簡単なものではありません。
その人がなぜそのような判断をしたのか、その背景にどのような価値観に基づいていたのか。これらを整理し、その価値観や判断が適さないもので、変化が必要であることに納得をしてもらい、本人が自発的に変化したいという考えに至ってもらい、変化に対して前向きに取り組んでもらうところまで心理をときほぐしたところで実際に変化に向けた行動の変化のための取り組みに移行することができます。そして変化に向けて取り組み始めたあとも古い価値観を元にした習慣でついつい前と同じ判断をしてしまわないように新しい価値観を元にした判断や行動をなじませていく必要があります。これらのすべてが成功してようやく行動が変化し、新しい振る舞いが定着することになります。
この一連の流れのどこで躓いたとしても「変化は失敗した」ということになるわけで、このプロセスの難易度は高いものです。仮に変化に向けて本人や周囲が真剣に取り組んでいたとしても変化が成功することもあれば、失敗することもあります。また、変化が成功する場合も、長い時間を要することも珍しくありません。
価値観の変化が不要なケース
すべての行動の変化に価値観の変化が必要になるわけではありません。そのようなケースには以下のようなものがあります。
- 価値観にかかわらない問題
- 仕組みで解決できる問題
- 他者に変化を求める側の問題
1. 価値観にかかわらない問題
すべての行動がしっかりとした価値観や判断に基づいているわけではありません。自分でも説明しきれないような、なんとなく行った行動もありえます。例えば、特に深い理由もなく凡ミスをすることもありえます。こういった場合、その行動に修正ということについて本人としても即納得し、行動を修正することへの抵抗感もなく、すんなりと修正が着地することもあります。
2. 仕組みで解決する
本人の価値観の変化がなくても仕組みで行動に変化を与えることができる場合もあります。
例えば、各自が思い思いに記憶や個人のメモでタスク管理をしている影響でチームとしてのタスク管理におけるミスが多発していたとして、タスク管理の仕組みを整備することでタスクの抜け漏れや要点の確認漏れを減らすことができます。
3. 他者に変化を求める側の問題
誰かからみて、同僚の行動が好ましくないと感じ、指摘をしたとしてもその指摘が妥当とは限りません。
変化を求める人にも価値観があり、価値観は人によって異なります。変化に対する期待が妥当な場合もあれば、個人の好みを押し付けていることもありえます。この場合、指摘をされた人に変化が必要というよりは、むしろ自分の価値観を他者に押し付けている指摘した人自身が自分を見つめ直す必要があるケースになります。
まとめ
この記事では、価値観・判断・行動の構造を踏まえて、人の変化に関して整理しました。
人の変化は難易度が高く、時間もかかります。短期間で大きな変化を求めすぎず、一見変化が見えない時期も含め、小さな変化の繰り返しを暖かく見守りつつ、変化の過渡期で必要な対策は別途検討する必要があるでしょう。また、こういった難しさを踏まえると、その会社における好ましい価値観・判断・行動から著しく遠く、しかも変化への姿勢が硬直的だと適応が困難なため、その場合は採用時の見極めを強化したいところです。
今回の話題はいわゆるアンラーニングに関するもので、以前も別の目線から取り扱っている内容です。気になる方は以下の記事を参照ください。